【コラム】Dancing Mindfulness?

「これは・・踊りながらするマインドフルネス・・かなぁ?」--ダンス/ムーブメントセラピー(DMT)を体験して、そんな感想を持つ方が時々いらっしゃいます。もちろん、DMT=マインドフルネスではありませんが、実感として似た体験をされることはあるのでしょう。

対象者や実施現場の文化、臨床上の目標、セラピストの長所や嗜好性によって、DMTの技法は様々です。文化社会的なテーマと人のこころの問題は、時代背景にも深く密接にかかわっているように思われます。DMTもまた、「その時代」の様々な心理社会的な影響を受けながら、「その時代」のセラピストたちのクリエイティブなパッションによって、「その時代」の人々のこころの痛みに寄り添うように発展してきています。1940年代からはサリバンの影響を受けてチェイシアン・モデルが精神科病院の中で生まれました。1950年代にはユングの影響を受けて主にはダンス・スタジオの中でオーセンティック・ムーヴメントの実践が始まりました。
こうした歴史的な積み重ねによって、DMTの技法は豊かに耕され続けてきています。
1990年代には、脳科学研究の進展によって、神経心理学的な知見がDMTの実践を後押ししてくれるようになりました。ちょうど、私がニューヨークの大学院でDMTを学んでいた頃です。
一般の新聞にさえミラーニューロンについての研究が発表されていました。American Dance Therapy Association創設(1966年)に携わったある先生が、「やっと私たちが実践してきていることが科学的に証明された」と話していたことを思い出します。その理論的な中身はさておき、この頃からDMTとsomatic psychologyやbody psychotherapyとの共通項が模索され始めます。トラウマ治療においては身体へのアプローチが有用視されるようになり、DMTは情動調節(affect regulation) 機能の改善に効果を示すことが研究されるようになります。

「今の時代」を生きる私たちには、どんなアプローチのDMTこそ求められているのでしょうか? 20年ほど前、私が日本で臨床を始めた頃、先の先生にこうアドバイスされました。「よく、患者をみることよ。あなたが何をすべきか、きっと患者が教えてくれるから。」--時代を超えて変わらないDMTのこの本質を守りながら、探り続けていきたいものです。

ダンス/ムーブメントセラピスト:神宮京子