【JCATA主催イベント】第9回日本クリエイティブ・アーツセラピー学会学術大会プログラムのご案内

第9回日本クリエイティブ・アーツセラピー学会学術大会

大会テーマ

クリエイティブ・アーツセラピーを社会へ届ける
~医療・福祉・教育・コミュニティへの導入と実践

クリエイティブ・アーツセラピー(CAT)を必要とされている場所にどのように届けるかという問いに、私たちは常に向き合ってきました。医療、福祉、教育、コミュニティへ、表現を媒介に人と関わる私たちの実践は、常に挑戦と工夫、対話の連続の中にあるのです。

本大会では、「社会へ届ける」をキーワードに、クリエイティブ・アーツセラピー(CAT)を実際の現場に導入し、受け入れてもらい、根づかせていくプロセスを共に考え、共有し合う場を目指します。広く社会に知ってもらうための枠づけは何か、単に活動を広げるだけではなく、文化や制度とどうつながっていくのか。そのために必要な働きかけや工夫、連携の実践を共に探っていきます。

現場にまかれたCATの種が、どのように育ち、つながり、変化していくのか、その歩みの中にある知恵や問いを持ち寄り、次の一歩を共に考える時間にしたいと思います。

2025.11.16(日)

9:30~16:30 受付開始(9:00予定)

受付開始日:2025.10.1

ハイブリッド開催

※一部対面のみ
※一部オンラインのみ

東邦大学医療センター大森病院

大森臨床講堂 & オンライン

参加費

会員:5,000円
非会員:8,000円

お問い合わせ:

conference2025@jcata.org
第9回日本クリエイティブ・アーツセラピー学会学術大会運営委員会

お申込み:10月1日(水)受付開始

プログラム詳細:

9:00-9:30 受付開始
9:30-9:40 あいさつ、注意事項、流れ


9:40-10:30

海外からのビデオ報告(50分)

北欧、アメリカ、アジアのセラピストらの活動や各国でのCATの展開について、映像でお届けします。


[休憩(10分)]


10:40-11:25

分科会I(45分) 演題発表①②③

① Room A:ハイブリッド/リモート発表

「米国マサチューセッツ州におけるコミュニティへのCAT導入例」

著者が臨床をしている米国マサチューセッツ 州では自閉症、ADHD, 複雑性PTSDなどの治療に対して言語カウンセリングとは異なる表現アーツセラピーからのアプローチに注目が集まりつつある。この発表ではコミュニティと連携を結びながら、表現アーツセラピー的活動を地域に提供している表現アーツセラピストへのインタビューを踏まえて、州における表現アーツセラピーの需要と普及について報告したい。

ジョーンズ美香(じょーんず・みか)

ヨーロピアン大学院表現アーツセラピー博士課程修了。マサチューセッツ州臨床心理士。Parent and Child Interaction Therapy 公認心理士。 Trauma Focused Cognitive Therapy 公認心理士。日米において、二十数年間、メンタルヘルスクリニック、病院、学校、就労支援プログラムなどで臨床やカウンセリングやセラピストの養成などに従事する。最近ではプライベート・プラクティスで臨床を提供している。
所属:個人開業カウンセラー

② Room B:ハイブリッド/現地発表

「沖縄に駐留する米軍関係者への臨床報告 ― アートセラピー事例を通して」

本発表では、沖縄県のカウンセリング施設で提供している心理療法サービスや、沖縄に駐留する米軍関係者への臨床の実践について報告する。米軍関係者特有の問題、思春期の子ども、退役軍人らが抱えるトラウマや不安、葛藤に対し、アートセラピーを含めた心理療法による回復の過程を事例を交えて示す。米軍の駐留が続く沖縄の抱える地域的な問題と地元のメンタルヘルスの問題を考察する。

藤澤玲子(ふじさわ・れいこ)

ニューヨーク大学大学院教育学部アートセラピー学科(修士)修了。ウェル・コーネル医大付属病院等の総合病院精神科にて臨床にあたる。2016~2022外務省領事局ハーグ条約室にて児童心理専門員として勤務。2023年よりTELLカウンセリング沖縄にて勤務。公認心理師、NY州認定クリエイティブアーツセラピスト、米国アートセラピー協会認定アートセラピスト。
所属:TELLカウンセリング沖縄

③ Room C:対面のみ/現地発表

「異なる言語環境から学ぶダンスの指導実践
ー 手話環境の大人と英語環境で学ぶ子どもたち、それぞれの多様な背景を踏まえて」

聴覚障がいと共に生きる方々を対象に、手話での情報を必要とする大人や手話学習者と共にダンスクラスを実施した。

本発表では、その過程で直面した課題や、アクセシビリティの必要性に関する気づきを報告する。

また、発表者が継続して関わってきた、英語環境で育つ/学ぶ子どもたちとのクラスを対照例として取り上げる。異なる言語環境における学びの特徴を整理し、安心できる学びの場を共に創るための情報保障の在り方を考察する

高井彩加 (たかい・あやか)

ロンドンで振付とダンスセラピーを学び、帰国後は東京を拠点に英語と日本語のバイリンガルダンス講師・ヨガ講師として活動。児童劇団・学校・大学・障がい者施設など多様な現場で指導し、「その人らしさが輝く瞬間」を大切にしている。www.ayakalor.com
所属:ダンス講師、アート・ダンサー(フリーランス)


[休憩(5分)]


11:30-12:15

分科会II(45分) 演題発表④⑤⑥

④ Room A:ハイブリッド/リモート発表

「アートベース・リサーチ(ABR)とクリエイティブ・アーツセラピー」

芸術活動を研究に使うアートベース・リサーチ(ABR)において、研究者(または指導者)が芸術の治療的側面や危険性に関して熟知しているクリエイティブアーツ・セラピストであることには、どのような意味があるだろうか。研究者自身や研究協力者にとってより安全に、より社会的意義のある研究となるために、筆者が修士論文の指導実践の中で考えてきたクリエイティブ・アーツセラピーの視点が果たす役割について考察する。

尾上明代(おのえ・あけよ)

立命館大学大学院人間科学研究科教授、東京大学教育学部非常勤講師、ドラマセラピー教育・研究センター代表、北米ドラマセラピー学会公認トレーナー。8月、日本で初めてCATの視点によるABRの書籍「アートベース・リサーチ<ABR>とクリエイティブ・アーツセラピー」(遠見書房)を編集・出版した。
所属:立命館大学大学院

⑤ Room B:ハイブリッド/現地発表

「ここは遊ぶ場所、ずっと通いたい場所ー公立小学校内における不登校児童のためのアートグループ実践ー」

不登校児童の増加が続く中、支援や相談につながらない児童が3分の1を占め、アクセスの良い学校内での支援の重要性が高まっている。本発表では、公立小学校内に立ち上げた長期不登校児を対象とするアート活動を基盤としたグループの約5年間の実践をもとに、児童たちの作品や行動の変化、グループ形成の過程、アート活動の特性、さらには校内での支援体制や環境整備といった構造面に触れ、今後の支援の可能性について検討する。

多久和奈美子(たくわ・なみこ)

アライアント国際大学・カリフォルニア臨床心理大学院日本校修了、CiiAT(The Canadian International Institute of Art Therapy) Training修了、公認心理師。福祉、教育、医療の場でアートセラピーを提供。公立小学校支援員
所属:公立小学校支援員

髙橋洋子(たかはし・ようこ)

放送大学 教養学部 心理と教育コース卒業、CiiAT(The Canadian International Institute of Art Therapy) Training修了、認定心理士、産業カウンセラー。福祉、教育の場でアートセラピーを提供
所属:クエスト総合研究所

園井陽子(そのい・ようこ)

京都市立芸術大学美術学部美術科卒業、CiiAT(The Canadian International Institute of Art Therapy) Training修了、公認心理師。福祉、教育の場でアートセラピーを提供
所属:児童発達支援員

倉石聡子(くらいし・あきこ)

臨床心理士、公認心理師、米国アートセラピー協会登録アートセラピスト。アートセラピーの臨床・教育・研究に従事。アップコンセプト・スタジオを主宰。日本女子大学、駒沢女子大学非常講師他
所属:アップコンセプト・スタジオ

⑥ Room C:対面のみ/現地発表

「セラピーの中で立ち表れる“美“についての考察〜セルフケアのための瞑想箱庭療法の体験から〜」

芸術療法や表現療法で、セラピーが進み、クライエントが快方に向かっていくと、その表現に”美しさ”が立ち表れていることに、ある日気がついた。この気づきは発表者自身がクライエントとして受けた瞑想箱庭療法でも体験することになる。“美しい“っていったい、なんだろう?人が“美“を感じるときは、どんなときなのだろうか?そこには人が“よりよく生きる”ことと、なにか関連がありそうだ。

柴田恵美(しばた・えみ)

医療法人洛和会の音楽療法士。大学で音楽療法を専攻、卒業後は病院や障がい児・者のための音楽療法を実践、2013年〜現職。2023年名古屋音楽大学大学院 音楽教育学修了。在学中に瞑想箱庭療法に出会い、芸術療法と美との関係について興味をもつ。ノードフ・ロビンズ音楽療法士、日本音楽療法学会認定音楽療法士。
所属:洛和会京都音楽療法研究センター


12:15-13:15 昼食(60分)


13:15-14:45

ワークショップ発表(90分)①②③④

① Room A:ハイブリッド/現地発表

「アートでつなぐ協働のかたち ― CWSI(Creative Wellness Service Initiative)に学ぶウェルネス支援」

CWSI(クリエイティブ・ウェルネス支援事業)は、IEATA(国際表現アーツセラピー協会)の会員が、地域のNGO等と連携し、支援が届きにくい人々に対して無料でワークショップを提供する、IEATAによる国際的な取り組みである。本ワークショップでは、その一部を実際に体験してもらい、心のケアとしてのクリエイティブ・アーツの可能性と、クリエイティブ・アーツセラピーを社会に届ける方法を考える契機としたい。

市川雅美(いちかわ・まさみ)

Nazareth Universityアートセラピー修士課程修了、Expressive Arts Florida Instituteトレーニングコース修了。米国アートセラピー協会登録・認定アートセラピスト、公認心理師、臨床発達心理士。子ども家庭支援に携わりながら、表現アートスタジオいろいろの木を主宰している。
所属:表現アートスタジオいろいろの木

② Room B:対面のみ/現地発表(定員25名)

「支援者のセルフケアと成長のためのアーツセラピーを考える
『どこから来て、どこへ向かうのか 〜アイデンティティーに立ち帰る〜』」

本ワークショップでは、支援者を対象にしたセルフケアと自己成長のためのアーツワークを行います。支援にアーツを用いる意味を自らに問い直し、自分らしさを見つめ、自分の過去や現在と向き合い、小さなグループでのシェアリングを通して言語化します。「今の職業を目指したその日から何が変化し、何が変わっていないのか?」私たち自身がアーツを通してお互いの癒しとサポートができる方法を参加者と一緒に模索します。

狩谷美穂(かりや・みほ)

Lesley University大学院Expressive Arts Therapy研究科音楽療法・精神カウンセリングコース修士課程修了。米国の精神科病院等にて臨床経験をつみ帰国。現在は広島にて臨床活動、スーパービジョンを行っている。米国認定音楽療法士(MT-BC)日本音楽療法学会認定音楽療法士。広島文化学園大学看護学部非常勤講師。

所属:MUSIC POWER for ALL

長江朱夏(ながえ・なつ)

ニューヨーク大学大学院修士課程を修了。即興音楽のアプローチを基盤としたノードフ・ロビンズ音楽療法並びに分析的音楽療法の認定を持つ。幼児・児童から精神科病院における幅広い臨床活動、スーパービジョン、講演活動も行っている。米国認定音楽療法士(MT-BC)。公認心理師。名古屋音楽大学・大学院特任講師。
所属:Ongakuya

③ Room C:対面のみ/現地発表(定員15名)

「絵を描くマインドフルネス」=精神科デイケアの中でCATを位置づける実践」

発表者はCATが多用されている英国で長年勤務してきた。日本に帰国後5年間、公的医療保険適用の精神科デイケアのプログラムとしてグループアートセラピーを実施している。今大会では、多職種で運営するデイケアの中でCATが受け入れられる工夫のひとつの「マインドフルネス」としてのCATの側面を、参加者に紹介し、「生きることの意味」を感じ表現できる、植物観察・スケッチ画法などの実践を促したい。

間美栄子(あいだ・みえこ)

ロンドン大学大学院アートサイコセラピー修士、英国国家認定アートセラピスト。人智学芸術療法士。英国脳神経リハビリテーション病院で11年間常勤。帰国後新潟市の多機能型精神科診療所にて常勤、様々なクライエントとアートセラピーを行っている。日本芸術療法学会、世界集団精神療法学会などで臨床発表を行っている。
所属:心療内科・精神科 ささえ愛よろずクリニック

④ オンライン:オンラインのみ/リモート発表

「CATの実践において私を動かすもの~ドラマ的なアプローチを用いて探る」

制度や職場が確立しているとはいいがたいCATの実践は、個人の気力や情熱に頼るという側面があるように思う。原動力は何か、壁と感じるものは何かといったことを時折チェックすることは、活動や実践の意義を再確認し支援者自身のレジリエンスを育むことにもなるのではないだろうか。遊び心、イマジネーション、役割体験といったドラマセラピーの要素がこのテーマにどう活用されうるかを、参加者とともに体験を通して考えたい。

井口雅子(いぐち・まさこ)

Kansas State University大学院ドラマセラピー専攻修士、北米ドラマセラピー協会認定ドラマセラピスト、公認心理師。これまで小児科、教育相談、地域プログラム、高齢者施設などで児童・家族支援、高齢者支援に従事。現在は米・カリフォルニアにて日本語放課後プログラムに携わる。
所属:アップコンセプト・スタジオ


[休憩(15分)]


15:00-16:10

シンポジウム(70分)ハイブリッド/現地発表

「クリエイティブ・アーツセラピーを社会に届ける――その意義と課題」&会場ディスカッション

「現場から見えるクリエイティブ・アーツセラピーの可能性と課題」

教育・医療の現場での表現アートセラピー実践をもとに、日本社会におけるクリエイティブ・アーツセラピーの意義と可能性を考察します。多様な臨床現場から見えてきた社会的ニーズや普及の課題、そして専門職としての役割について提案します。

濱中寛之( はまなか・ひろゆき)

米国CIISにて表現アートセラピー修士課程終了。東京学芸大学特命教授。表現アートセラピスト、公認心理師、臨床心理士。精神科・緩和ケアでの芸術臨床の実践を経て、現在は大学や小学校で心理支援を行う。東京学芸大学、日本女子大学、表現アートセラピー研究所で講義・研修を担当。
所属:東京学芸大学

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「社会に届く? 根づく? 繋がる?実践と研究を介したクリエイティブ・アーツセラピーへ」

本シンポジウムでは,CATを社会に届ける意義と,その実現に向けた課題を検討します.まず,CATの効果を社会に届けるには,客観的な研究手法を介した効果研究を通じ,科学的エビデンスを蓄積することが不可欠と考えます.さらに,医療・心理・教育・福祉分野等の専門職との他職種連携を推進し,実践の質的向上と共通理解の構築が必要と考えます.本発表では,これらの課題を踏まえ,今後の実践と研究の展望を考察します.
※Creative Arts Therapy, CAT

髙橋秀樹(たかはし・ひでき)

米国ニューヨーク州サラローレンス大学大学院ダンス/ムーブメントセラピー学修士課程
を修了後,同州レジスケアセンターにて勤務.帰国後,京都大学大学院医学研究科にて,知的能力障がい児・者を対象としたDMT介入研究を実施し,博士号を取得.
現在,四国大学の教員として勤務し,認定こども園においてDMTを介した発達援助に取り組んでいる.
※Dance/Movement Therapy, DMT
所属:四国大学生活科学部児童学科


16:10-16:30 クロージング
16:30    閉会