【コラム】WAKUWAKUホームのアイドル

私は、NPOで活動をしていて、昨年の4月からWAKUWAKUホームを担当している。子どもがちょっと泊まれる場所をつくりたくて、物件を探し、夫とともにWAKUWAKUホームに移り住んだ。不登校の子どもを対象としたアート系のワークショップをしたり、ゲームづくり教室、リコーダーの会、子ども食堂、学習支援などなど、さまざまなグループ活動が展開されている。

シングルマザーさんが出張などの用事があるときに子どもを預かったり、思春期の子どもが親と物理的に離れたいときに保護者の了承のもとに預かったり・・・ いつも心がけているのは程よい距離感である。親戚の家に行くような感覚で、安心して遊びにきたり泊まったりしてもらいたいと思っている。

たまたま一緒に泊まることになった子たちが、兄弟姉妹のように仲良く過ごすことがしばしばある。家では一番上の子がホームで会ったお姉さんに甘えたり、一人っ子同士がとても楽しそうに遊んだり。大体、ウチに来た子たちはなかなか寝たがらず、困らせてくれる。

この家の一番の人気者は“ヒメちゃん”という黒猫である。しっぽが短く足も短めで、スマートな黒猫とはちょっと違う。ジャンプ力は素晴らしく、のびをしたり、丸まったり、すべてのムーヴメントが愛らしい。子どもたちは、みんなヒメちゃんが大好き。でも、賑やかな子どもたちの声を聞くと、ヒメちゃんはスーッとどこかに隠れてしまう。

ヒメちゃんに出会って一番変わったのは夫である。夫のお母さんは猫や犬が嫌いだったそうで、小さい頃から生き物を飼ったことがない。そんな夫が60才近くになって人生で初めて猫を飼った。今やその溺愛ぶりは半端ねー感じだ。気のせいか夫の動きはしなやかになり、すべての子どもに柔軟に対応してくれている。

 

ソーシャルワーカー(ダンスセラピスト) 天野敬子